ライス単独ライブ2017「ブラン」を見た去年の話

2017年。この単独の後、ライスの異質さについて、界隈はもっとざわめいてもよかったんじゃないか。

この複雑なライブについて、もう少し誰かと語り合いたかったし、もっとたくさんの人の見解を聞きたかった。

と、一年経つ今も後悔している。だから自分のために少しでも書き残したい。一年以上前だし、いろんな心配や間違いは見逃してほしい。 だめ?そっかー、でも書く。

私の不慣れな文章では絶対に伝わらないだろうし、

どうか、この公演名で検索して、いろんな人の感想と考察を見つけてほしい。

こんなに複雑な舞台を見たのは初めてだった。

 

こんなかんじ 

 

翌年の単独も素敵なやばさなので知ってください

 

 

ライス単独ライブ2017『ブラン』

東京公演:2017年7月7日~7月9日 5公演

大阪公演:2017年11月13日~11月14日 2公演

全部合わせて7公演!ライスの単独ライブとしては過去最大規模。

キングオブコントのチャンピオンイヤーでしたしね!お祭りみたいだった。

ご本人からは事前のお知らせも、公演後の謎解きもドヤ感もそんなになかったのですが、

 

このライブ、7公演すべての構成が異なるんです。

(田所仁さんが公演期間中に喉を壊しかけた偶然も重なった結果です)

しかも各コント・別日のコントにまで及ぶ伏線と小ネタが仕掛けられてる。

しかもそのことを本人が言及しないから、公演を見た人でもそれを知らない人が多いんです。 

 

もちろん、毎公演が特製だから、一公演を楽しみに来たお客さんも楽しめる。その人がライスのファンなら、公演終了後は誰かと感想を分かち合ったり検索して、考察したり発見したり、という楽しみ方をした人もいたかもしれない。

でも、「KOCチャンピオンだし?どんなもんか一回くらい見ておくか」的な関係者やお笑い好きの一見さんのうち、どれだけの人がそこまでするだろうか?

そういう人たちに、この複雑な単独の仕組みが、芸人・ライスの異質さのすべてが伝わっていないであろうことが、私は勝手にスーパー悔しい

 

構成チャートと考察

つくってみた!タイトルだけだから、怒らないでまず見てほしい。

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ライスやばい。なんかこわい。ちょっと気持ちがわるい。コントの変態。すごい。

これ、表の下になんかごちゃごちゃ書いてるけど、仕掛けはこれだけじゃない。それぞれのコントにいろんな繋がりがある。それらを僅かでも知ると、この単独が単なる『コントの集合体』ではなく、一つの大きな何かにも思えてくる。本人の解説を聞く機会がない以上、これは私個人の妄想に過ぎないかもしれない。。

私は幸運なことに東京5公演を見ることができた。それでも気付けていない伏線はあるかもしれない。

すべてを言葉にするのは難しいけど、せめて気付いたところとか、Twitterで見つけたファンの方の解釈とかをまとめて箇条書きにしたい。

 

▽目次 

 

OPコント(2種)

爆発の瞬間

自由研究:息子(田所)の夏休みの自由研究を手伝う父親(関町)

  • 父親は会社を退職している。尻フェチ→コント『あっちとこっち』へ
  • 息子→コント『石→』へ

マジック:ボールの色が変わるマジック。マジシャン(田所)とそのアシスタントの休暇代理の女性(関町)。

  • マジシャンは「小さい頃から前世が魔法使いだったと信じて疑わなかった」→コント『あっちとこっち』、コント『戦神、帰還せり』へ
  • アシスタントの女性→コント『『石→』へ

 

OP VTR

公式YouTubeチャンネルより

 

映画監督の山下敦弘氏撮影・音楽は渡邊崇氏のオリジナルです。

コントタイトルは大阪公演のもの。映像は東京公演と共通です。

 

ドリーマー

公式YouTubeチャンネルに同じネタがアップされてます。これ

  • 登場する固有名詞が色(イタリア語)

ビアンコ=白

グリージョ=灰色

ネロ=黒

 

二人とも、役の名前に応じた色の服を着ている。 

関町:ブルーノ=茶

田所:ロッソ=赤

 

余談、この単独公演のタイトル『ブラン』は、フランス語でblanc=白という意味があるそう。

 関町 今回タイトルを「ブラン』にしたんですけど、「白」という意味の。本当にまっさらな気持ちで挑みたいと思ってます。

▼引用元はこちら。写真も内容もすごく良いインタビュー記事

 (3ページ目)「ガツガツしないで時を待つ」東京っ子コンビ・ライスが醸し出す“ゆとり感”|日刊サイゾー

 

異奇☆妖々(東京公演のみ)

中学生のユウタ(関町)に久しぶりに会った親戚のお兄ちゃん(田所)

なんかいろいろあって、二人は夜風に吹かれながら戦うことに。

  • キーアイテム「クロス(十字架)のネックレス」→コント『クライ/バースデー』に登場

関町さん作のコントらしい。東京公演限定のコント。

大阪公演ではコント『chaku』(田所仁さん作)に差し替え

 

chaku(大阪公演のみ)

大阪公演限定

公式YouTubeチャンネルにあるこのコント

  • ブラン版補足:社員の男は、パチスロで負けた腹いせにいたずらを仕掛けた→コント『クライ/先生と生徒』へ

 

 

捜査本部①

全3種ある同シチュエーションコントの内のひとつ。立札の「○○市捜査本部」の市名が異なる以外、セットは3種全て同じ。パイプ椅子、長机、演壇はすべて白色で統一されている。

捜査本部①は全公演固定で、「猪呂市」で起きた強盗殺人事件について。

舞台上には刑事ふたり。前方に立ち、事件の詳細を淡々と読み上げていく男(関町)と、着席しモレスキンにメモを取る男(田所)

矢継ぎ早に、いろいろな色の名前がでてくるコント。

 

あっちとこっち

会社員二人が社食で会話しながら昼食。

右:ひたすら食べ続ける男

左:早々に食べ終わって煙草を吸っている男

(左右は客席から見た立ち位置)

基本的にはの左の男→関町/右の男→田所。

東京公演3日目のみ、この配役を交換して演じられた。

(理由は田所仁さんが喉を痛めたため。当日に急遽交換を決めたらしい。ちなみにその理由が明かされたのは、2017年12月のトークライブ)

 

他愛のない世間話、社内の噂話から、話と空間は異次元へ跳ぶ。

  • 左の男→OPコント『マジック』のマジシャンの父親?
  • セクハラで退職した部長→OPコント「自由研究」の父親→コント『石→』へ
  • 左の男のビジネスバッグの中から消えた七味唐辛子→コント『石→』へ
  • ガラスが割れる音→コント『石→』の出来事に繋がる

 

▼公式YouTubeより。後日別ライブで収録されたものなので、展開は単独のものと異なる

 

クライ(日替わりコント:2種)

先生と生徒:不登校気味の無口な生徒(関町)と、それを諭す先生(田所)

屋外のベンチから、パチ屋を遠巻きに眺める二人。

  • 先生の友人の藤岡(パチスロで8万負けた男)→コント『chaku』の平社員?

バースデー:誕生日を迎えた男(関町)と、様々なサプライズでもてなす友人(田所)

友人同士、男二人の誕生日パーティー。電気を消して、10数えて待つ。

  • 誕生日プレゼントは『クロスネックレス』の新色→コント『異奇☆妖々』のクロスの色違い。(大阪公演の誕生日プレゼントはブラン物販で販売していた『ブランキーホルダー』。コント『異奇☆妖々』は東京公演限定であったためと考えられる)

 

捜査本部②

全3種ある同シチュエーションコントから、「布久市」と「那曽市」を日替わりで。

「那曽市」→なぞなぞに纏わる言葉が盛り込まれている。

  • 重要な証拠となる帽子が見つかっていない。帽子に書かれている食べ物の中に隠れている食べ物。

 

「布久市」→衣服や身に着けるものに纏わる言葉が盛り込まれている。

  • 不倫相手の高橋はチキンピラフと書かれた帽子をかぶっている
  • チ「キンピラ」フ

 

戦神、帰還せり(東京公演のみ)

時代は古代ローマギリシアを思わせる大きな布を纏った白い服装。

これから戦地に赴くため決起しているローゼン(関町)たちの前に、マルク(田所)が現れる。マルクは、前線で幾人もの敵を倒し帰還したらしい。

  • マルクは魔法のような能力を使う→OPコント『マジシャン』の前世の可能性
  • コント『命乞い』のセルフオマージュ?のようなやりとりが含まれている

関町さん作のコント。 

 

キラー(大阪公演のみ)

口笛を吹く殺人鬼(田所)から隠れている男(関町)

 

いつまでも

「俺たちは生物が生まれる前から、親友だったんじゃないか」

現代→平安→原始→猿→その前

(大阪公演最終日のみ、猿のくだりがカット )

 

石→

議員事務所。傲慢な態度の議員(田所)と、その秘書の女性(関町)

収賄容疑が明るみになり、抗議に来た周辺住民たちが外で騒いでいるらしい。次第に抗議はエスカレートし、事務所の窓に向かって様々なものが投げ込まれる。割れるガラスの音。

石、焼酎、ウニ…週刊誌、しんぶんし、七味唐辛子、

  • 議員「小6の時の自由研究が爆発した。努力は報われないと知った」→OPコント『自由研究』の息子
  • 秘書「以前はマジシャンのアシスタントのようなこともしました」→OPコント『マジック』のアシスタント
  • 投げ込まれる七味唐辛子→コント『あっちとこっち』でビジネスバッグの中に消えた七味唐辛子、ガラスの割れる音
  • しりとりの後半は「し」縛り
  • しりとり後半に投げ込まれるものは視覚的にも縛られて(束ねられて)いる→週刊誌、新聞紙
  • コントの最後、舞台に残る人間が日替わり。台詞:議員→「またかよ!」秘書→「もうやだ!」 おそらく日替わりOPコントの登場人物と同期している。

 

本人もう少しこういうのアピールとかしないの?………しないね、ライスだもんね…ライスの美学…

 

ライス単独ライブ2018『グラン』につながる?

そして以下の記事は、ライス単独ライブ2018「グラン」を見た時のことです。

2018年7月7日~7月8日

そう、なんか日程も同じだし名前もめちゃくちゃ似てるし、

あとなんかフライヤーのフォントもほぼ同じっていう

そんなの、共通点を探しちゃいますよね。答えはわかんないけど、

だってほら、ライスの人たち自分ではそんな解説しなさそうじゃないですか